高電圧発生器の実験(4)


  ● 高圧危険! 実験される方はご自身の責任において実験してください。感電事故・電波障害等について、当方は一切責任を負いません。



  (1) 自励発振フライバックトランスの作成: 高圧危険!


  CRT用・TV用のフライバックトランス(FBT)を駆動するための、自励発振式の電源を作成する。 ここでは、帰還用の補助巻き線が不要の、高速ダイオードによる帰還を用いた FETプッシュプル方式にした。(=ZVS(Zero Voltage Switching)ドライバ) この回路は 一部の電磁調理器(IH)や 高周波炉 などにも用いられ、エネルギーを使わないときはエネルギー消費が小さく、使う時には大電流が流れる。
  発振周波数は、5T + 5T (計10T)のインダクタンスLの測定値が 25.4μHより、約39kHzであり、駆動時に耳障りな騒音(3kHz程度)は無い。 コンデンサーにはMFコン(630V0.33μF×2=0.66μF)を用いたが、特に発熱等は無かった。 (=MKP(金属化ポリプロピレン)コンデンサー)
  FETには、IRFP260M(200V、50A、パルス200A、VGS max ±20V、Rds(ON) 0.04Ω)、高速ダイオードには UF2010(1kV、2A、Trr 75nS)を用いた。 FETのゲートのツェナーダイオード(12V1W)は、電源電圧が12〜30Vまで対応するので、ゲートに12V以上かからないように入れた。 フライバックトランスのアースピンは、実際に放電させて確認する。(テスターでは分からない。)

  結果は、DC電源に 12Vのスイッチング電源 および トランス(2A・12V端子) 整流出力16V を用い、
      出力OPEN時:  12V ・・・ 入力電流0.2A、 出力電圧 +10kV、      16V ・・・ 0.25A、 +12〜13kV
      ギャップによるアーク放電時:  12V ・・・ 1.8A (ギャップ2mm)、    16→13Vに下がる  ・・・ 2.5A (ギャップ8mm)、3A (ギャップ10mm)、+1〜2kV
 となって、アーク放電などによって出力インピーダンスが低くなると、エネルギーが流れて急に消費電流が増加した。
  一応放熱器も付けたが、この程度の入力では FETの発熱はほとんどなかった。 ただし、誘導加熱、高周波炉等の実験を予定し、2つの放熱器の上に冷却ファン(12V、60×60mm)を取り付け可能にした。
  また、前章1.の 昇圧整流器(+)に入れたが、ダイオード内蔵で整流されているため 電圧は上がらず、+1kV程度(at.16V、0.25A)だった。

  


  (1)’ 誘導加熱の実験:

  フライバックトランスの代わりに 銅パイプのコイル(4T + 4T)を取り付けると、その中に入れた導体がエネルギーを吸収して発熱する。(上記のトランスを使っての実験。 コイルの中に何も入れないアイドリング状態で2Aくらい消費。)
  赤熱するには入力が全然足らず、トランス電源は30V・10A以上必要と思われる。(12V5Aスイッチング電源は、過負荷で止まるので使えない) FETは発熱し始めるので、12Vファンを取り付ける。

 




  (2) マルクスジェネレーターの作成: 高圧危険!電波障害注意


  高電圧を得る方法として、代表的な コッククロフト・ウォルトンの回路はかなりの入力電力が必要で、素人には 70〜80kVあたりが限界。 また2次コイルと浮遊容量の共振を利用する テスラ・コイルでは、高周波(数MHz)のために容易に電圧が上がるが、整流には高圧・高周波用のダイオードが必要、また これはアンテナと等価なので強い電磁波放射が問題となる。
  そこで、(電荷を蓄えることを考えず、)ただ高電圧のスパークがほしいだけなら、マルクスジェネレーターによって、容易に100kV以上の超高電圧を作ることができる。

  仕組みは、抵抗(2W1MΩ)を通じてはしご状のコンデンサーをすべて充電させておき、隣合うコンデンサー(50kV 470pF、中国製、20〜30kV程度でも構わない)間の小ギャップ(2mm〜15mm程度、すべて一定の距離にそろえるが放電すると 放電部で急に抵抗が下がり、全部のコンデンサーが直列に通電して、その両端で高電圧のスパークが発生するというもの。 ここでは、9段とした。 電源は、1.の、自励発振のTV用フライバックトランス を整流器を入れず そのままつなげた。(TV用フライバックトランスにダイオードが内蔵されていて、頭の赤線の出力が + ) 放電時間の間隔は、メイン・ギャップ6cmの時、1秒間に2−3回くらい(2〜3Hz)。

  (* 容易に昇圧する代わりに、非常に危険なので 感電、電波障害、騒音などに特別な注意が必要。パソコンのUSBに真っ先に影響が出る。 電源スイッチは、アクリル棒等の絶縁体で押すようにする。 またスパークからは十分に離れること。電圧が上がると テーブルの上などの変な所で放電する。 スイッチング電源は静電気で壊れる恐れがあるので、トランス電源 あるいは 蓄電池などを用いる。 片づける時は、アースにつなげた”放電棒”でコンデンサー部分をすべて放電させる。)

 
 

  (2)’ 小型のマルクス・ジェネレーター:  コンデンサーの耐圧が低い(15kV)ので、12Vスイッチング電源で駆動。

    



     §  高電圧 のいろいろ:


  昔フランクリンが凧を揚げ、雷の静電気をライデンびんに蓄え、雷の正体は電気だということが分かりました。
  高電圧の用途は、かつての TV、CRTのブラウン管、電子レンジ用マグネトロンの駆動、 ガソリン車・バイクの点火装置、ガスレンジ・灯油ストーブなどの点火装置、オゾン発生器、 X線発生装置、 電力の輸送(高圧電線)、 スタンガン、動物の屠殺用、電気柵、電気刺し、サメ除け装置、 などなど。

  中国製の高電圧用の電子部品は、アリエクで最近よく売られています。国産品はもう作っていないか、値段が高い。 ただし品質は今一つのものも多く、耐圧等のスペックは高めのものを発注した方が無難です。国産のコンデンサーは次の日に触ってもびりっと来ます。(その点では安全?)
  筆者は昔、実験中に、うっかり60kVの余波が指に来て、ポーンと変な音がして”落雷”し、その指の感覚が全くなくなりました。しかし、30分後には回復しました。(人体の回復力!)

  マルチン・ルターは、ある日友人と歩いているとき、落雷でその友人は死んでしまいました。 これを見て、ルターは神を畏れ、主に献身を誓ったそうです。
  高電圧により、空気はイオンと電子に電離するとプラズマ状態になり、ミステリーなものを感じさせる不思議な動きをしますが、ちゃんと 神様が定めた原理・法則に従っているだけです。


  聖書には、「雷」は、(ヤコブとヨハネの)激しい性格の表現、また、神の御座から常に発せられる栄光の一つであり、まばたきの瞬間に来られる 「再臨の主」の様子のたとえにも用いられています。


   「ゼベダイの子ヤコブと、ヤコブの兄弟ヨハネ、彼らにはボアネルゲ、すなわち、の子という名前をつけられた。」 (マルコ3:15)

   「ちょうど、いなずまが東から西にひらめき渡るように、人の子の現れもまた そのようだからです。」 (マタイ24:27)

   「御座からは、いなずまと、雷鳴と、声々とが発せられていた。また、七つのともしびが、御座の前で燃え続けていた。これらは、神の七つの御霊である。」 (黙示録4:5)

   「「七つのの語ったことを封印せよ。それを書き留めるな。」と言うのを聞いた。」 (黙示録10:4)





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